レポート
台東区の福祉をデザインで盛り上げよう〜後編
耕房輝が変わった?
パッケージデザインが変わった?
それだけじゃあない。
人と、意識が変わったのだ。
お麩のラスクの新規デザイン作成の始まりに、輝での利用者の皆さんには絵を描いてもらった。
テーマは「輝」「オリジナルキャラ」である。
その中に、皆が注目した特異な輝を放つ猫がいた。
その語りかけるような目。
気になる。気になりすぎる。
その猫は満場一致でデザインへと採用された。
その絵を描いた方は70代男性である。
絵を褒められたのは生まれて初めてとのこと。
それは特別な感情を生み出したのだろうか。その方の絵はすごい勢いで上手くなり続けている。
『輝』のロゴマークも利用者の方の作品をベースに新たにデザインした。
その絵を描いた方とお会いした時には、自然と会話が生まれた。
「良いアイデアだったね。使わせてもらったよ」
「あんなのかんたんだよ。また考えるからいつでも言ってよ」
その口調はとても自信にあふれていた。
絵とデザインを通じて生まれたコミュニケーションがそこにあったのだ。
僕らにとって、オシャレなデザインを生み出す事や与える事は容易である。
しかし、SNSメディアに「カッコいい」「かわいい」が溢れる現代に、ただそれだけのものにいかほどの価値があろうか?
オシャレな上で、耕房輝らしさを出す事。
皆が自信を持って「自分たちだからこそ生み出せたデザインだ」と言えるものである事。
それ以上に意義のあるクリエィティブはない。
元々前向きなスタッフの皆さんに、より熱意がこもる。
それは周囲にも影響を与え、新たな行動へと導き出す。
『木曜日のお麩ラスク』
上野の浅草通りの場所にて週一の路面販売が始まった。
商品の陳列やポップの活用、チラシや試食の配布など「売るための努力」を皆で考えながら販売を続けている。
台東区の障害福祉課の職員の方々が、現場のために何かフォロー策を生み出したいと願っていた事。
僕たちデザイナーという者が、共に行動し考える事でひとつの形となった。
まずは一歩、とても前向きな事を生み出せたのではないだろうか。
デザインの役割とは、表層的な形を整えるたりユーザーに届けるだけでは留まらない。
その先のデザイン(図案)を使う方や、使用する日々までをデザイン(設計)をする事だ。
そうする事で人が動き出し、事が動き出す。
障害福祉にはそれぞれの規制や理由など、場所によって様々な事情がある。
僕らはそれを決して悲観的には捉えない。
なぜならその事情があるからこそ生まれる、人の力があるからだ。
ほら、耕房輝の売り場には今日も人と笑顔がどんどん集まり出しているよ。
お麩のラスクをwebで購入するにはこちらから。
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Photography & Written : 寺門 誠/ Makoto Terakado
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